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抵当権者が行方不明! 消滅した抵当権登記は抹消できる?

更新日:2020年12月7日

借金の担保となっている抵当権が設定された不動産について、借主がその借金を完済(弁済)したことによって、債務が消滅すると、抵当権の附従性という特徴によって、抵当権自体も消滅します。

しかし、抵当権が実体上消滅しても、何もしなければ、不動産の登記記録には、抵当権の設定登記がいつまでも残り続けます。

抵当権の登記が残ったままですと、不動産を売却しようと思っても、買い手が見つからず、取引するにも不都合な事態となりかねません。


そこで、抵当権が消滅したら、なるべく早めに抵当権設定登記の抹消登記の申請をすることをお勧めします。この抵当権の抹消登記手続は、原則として、抵当不動産の所有者(「抵当権設定者」といいます)が登記権利者として、登記義務者である抵当権者(金融機関や住宅ローンの保証会社など)と共同して申請する必要があります(不動産登記法60条)。


しかし、例えばお金を貸してくれた抵当権者が個人であって、借主が借金を完済したものの、長いこと放置してしまって、その後、抵当権者の所在が分からなくなり、抵当権者の協力が得られなくなってしまった場合、抵当権抹消登記をすることはできるのでしょうか。


実は、考えられる方法はいくつかあります。


もっともその前に、抵当権者を探す努力を尽くすことが必要です。


まずは、抵当権者を探す

抵当権者が個人である場合には、戸籍や住民票などの調査、住所地の現地調査及び近隣住民の聞き取り調査などを行い、権利承継者である相続人を探します。


そして当該相続人が無事、判明した場合は、その相続人に対して協力を求めることになります。


抵当権者が法人である場合には、全部事項証明書(現在の登記情報)や閉鎖登記簿などの調査、登記情報などが取得できる場合には、登記された役員の住民票などの調査を行います。


その結果、法人が既に事業を終了しており、清算結了の登記等をして、当該法人がなくなってしまっている場合は、その清算人に、抵当権設定登記の抹消登記手続への協力を求めることになります。


4つの方法 

様々な調査をしたにもかかわらず、抵当権者の所在を知ることができない場合には、下記の①〜④の方法の中から適した方法を選択し、抵当権設定登記の抹消登記申請を登記権利者が単独で申請することになります。


① 公示催告という手続きの後に裁判所による除権決定という裁判を経て、除権決定があったことを証する情報を提供する方法(不動産登記法70条1項・2項、不動産登記令7条1項6号、別表26ロ)。

この方法は、時間がかかり、官報公告の費用がかかります。公示催告の添付書類として権利の消滅又は不存在を証明する証拠が必要となります。具体的には完済証明書や解除証書などがこれに該当します。


② 抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として、政令で定めるもの(被担保債権消滅を証する情報(不動産登記令7条1項6号、別表26ハ)として、1、債権証書ならびに被担保債権及び最後の2年分の利息その他の債務不履行により生じた損害などを含む定期金の完全な弁済があったことを証する情報、2、登記義務者の所在が知れないことを証する情報を提供する方法(不動産登記法70条3項前段)。

この債権証書と受取証書を添付する方法は、その書類がない場合が多いため、利用される機会は少ないと思われます。


③ 債権者(抵当権者)が行方不明であり、被担保債権の弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に、被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭を供託したことを証する情報を提供する方法(不動産登記法70条3項後段、不動産登記令7条1項6号、別表26ニ)。

ただし、行方不明の要件や行方不明であることの証明に手間がかかることや、休眠担保権の時期や内容によっては供託する金額が少額ではない場合があるので注意が必要です。


行方不明であることを証する書面に関しては、登記義務者の登記簿上の住所宛に配達証明付き郵便を用いて受領催告書を送付し、その不到達であったことを証する書面(もしくは市区町村長発行の住所に居住していない証明書など)で構いません。 もっとも、一般的に、住民票、戸籍簿等の調査、官公署や近隣住民からの聞き込み等相当な探索手段を尽くしても、なお不明であることを必要とします(民事月報43巻8号)。


④ 公示送達の方法あるいは不在者等の財産管理人を選任する方法などにより、訴訟を提起し、勝訴の確定判決等を提供する方法(不動産登記法63条1項、不動産登記令7条1項5号ロ(1))。

これらは裁判を経る必要があります。


専門家にご相談を。

以上、4つの方法はいずれも、そう簡単なものではありません。

抵当権者を探すことが困難で、抵当権抹消がままならないと思ったら、やはり早めに専門家にご相談いただくのがいいと思います。


不動産登記の専門家である司法書士は、このような事案に対し、ケースバイケースで判断し、それぞれの場合にできることや、いちばん適した方法などをアドレスすることができます。

どうぞ、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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