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新しい遺言の保管方法

更新日:2021年8月24日

 遺言には、いくつかの作成方法があり、よく利用されているものとしては、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。



 公正証書遺言というのは、公証役場で公証人が作成し、保管してくれるもので、それだけで相続登記その他の相続手続に使える、効力の高いものですが、公証人はもちろん、二人の証人が必要となるなど、他人の関与が必要となり、作成に手間暇がかかります。


 他方、自筆証書遺言は、自分だけで作成が完結するので、他人の関与を必要とすることなく、作成することができます。ただし、自筆証書遺言はそのままでは相続手続きに使うことはできず、検認手続きが必要となり、この際に家庭裁判所が関与することになります。そのために結局、各相続人に戸籍などの必要書類を依頼することになることもあります。

 また、従前は遺言の全文章を自筆で書かなければならず、財産に不動産や金融機関の口座等が複数ある場合、割と大変でした。そして、自筆証書遺言の場合、保管している場所を遺言を書いた人しか知らないことも多く、せっかく作ったのに、その存在を知られることなく相続手続きが進んでしまうなどということも・・・。


 そこで、2020年7月から、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が新たに創設されました。 


 この制度を用いる場合、不動産の表記や金融機関の表記など、自筆で書くと比較的面倒と思われる情報を登記事項証明書や通帳のコピーの添付で済ませることができるので、遺言を書く人の労力が大幅に軽減されることにもつながります。


 作成した遺言は、法務局に保管の申請をして、保管証を受け取り、それを家族に教えておけば、中身を知られないまま保管してもらうことができますし、遺言の改ざんや紛失のおそれなく、安心して遺言を管理しておくことができます。そして何より、相続開始の際に、家庭裁判所の検認が不要になるという大きなメリットがあります。


 それでは、この新制度があれば、公正証書遺言の制度は必要なくなるのか、というと、そういうことでもないと思います。


 法務局が保管するといっても、自筆証書遺言の内容までを法務局で逐一チェックするわけではありません。自筆で作成するため、公正証書遺言と比べたら、形式面、内容面の精査はどうしても甘くなりがちです。

 公正証書遺言は、内容を法曹等出身の公証人が作成するため、形式や内容の確実性は、自筆証書遺言よりも相当高いものであることは、今後も変わらないといえるでしょう。


 また、公正証書遺言があると、相続人は、被相続人(遺言者)の出生から死亡までの全戸籍を収集することなく、相続登記の申請ができます。他方、遺言保管制度で保管された遺言があっても、相続人は、法務局に対して遺言の内容を証明書として取得する際(遺言情報証明書の取得請求)、遺言者の出生から死亡までの戸籍や相続人全員の戸籍・住民票を用意しなければなりません。

 法務局保管の自筆証書遺言の最大のメリットといえる、家裁の検認不要という点も、戸籍や住民票収集の手間があることを考えると、かなり色あせてしまうといわざるを得ません。


 とはいえ、新しい遺言書保管制度ができたことによって、これを利用することで、自筆証書遺言を、これまでよりも、より実効性のあるものにすることは可能です。そのためには、遺言の内容を実効性のあるものにすることが不可欠ですので、遺言の内容にもよりますが、やはり専門家のサポートを受けることをお勧めします。


 そもそも自筆で遺言を欠くという作業は、おそらく想像以上に労力を要するものです。ケースバイケースで、ご自身に合った方法を選択するといいと思います。


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