相続登記と一緒に申請・検討すべき登記や手続き
- ゆかり事務所

- 6月18日
- 読了時間: 7分
不動産所有者に相続が開始した際に必要となる手続きの代表として、非常に重要となるのが相続登記ですが、事案によっては所有権移転に加えて別の登記を申請する必要がある場合があります。
今回は、相続登記の手続と一緒に、別の手続きや登記申請が必要になる場合について、具体例を挙げて解説していきたいと思います。
相続登記の手続きとは?
相続登記とは、亡くなった方の不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。これをしないと、死者名義の状態のままの不動産となるため、適切な不動産の利活用や売却等の処分をすることができません。
相続登記の主な流れとしては、遺言書の有無を確認し、ない場合は戸籍の取得・調査により相続人を確定、遺産分割協議を行って取得者を決め、必要な書類を集めて登記を申請する、ということになります。
特に戸籍等の書類準備や、それによる相続人の確定作業は時間がかかることも多いので、早めに取りかかることが大切です。
相続登記をする前に確認したい事項とは
相続登記を進める際には、いくつかの注意点があります。まずは、相続人の、法律上の意思表示の問題です。
相続人が、相続登記等の手続きのために遺産分割協議を行うには、法律上、行為能力・意思能力(法律上有効な意思表示ができると認められること)が必要となります。
問題となるのは、具体的には以下の場合です。
1. 相続人の中に、未成年者(18歳未満の人)がいる
未成年者は制限行為能力者とされ、意思表示を伴う法律行為を単独ですることが制限されています。通常の意思表示は、親権者が法定代理人として行うため、日常生活に支障が生じることはありませんが、遺産分割協議となると、大抵の場合、法定代理人である親権者と利益の相反が生じますので、遺産分割協議において親が子を代理することはできません。ということは、相続人が未成年者のうちは、当該相続人は遺産分割協議に参加することができません。
そこで、未成年者の法定代理人として家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てます。この特別代理人は、未成年者の祖父母や親戚がなることも多いです。特別代理人は未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。特別代理人は未成年者の権利を最大限、守ることが原則となりますので、未成年者に不利益な分割をすることは基本的には認められません。例えば、未成年者が全く遺産を受け取れないような内容の分割協議は、債務超過など特別な事情がある場合を除いては、家庭裁判所に認められない可能性が高いです。
2.相続人の中に、意思表示が困難な人がいる
相続人の中に、認知症に罹患しているなどの理由で意思表示ができない人がいる場合、その人はやはり制限行為能力者として、遺産分割協議に参加することはできません。
こうした場合は、家庭裁判所に対して成年後見人(程度により保佐人・補助人)など法定代理人となる人の選任を申し立てる必要があります。
ただ、成年後見人・保佐人・補助人は、未成年者の特別代理人とは異なり、遺産分割協議に限った代理人ではなく、継続的な法定代理人ですので、遺産分割協議後もご本人の財産管理等、生活に関わることになりますので、その点に注意が必要です。
(令和8年6月現在の法律に準拠しています。)
相続登記と一緒にする必要がある登記とは
次に、相続登記と一緒に別の登記を申請する必要があるケース等についてお話します。もし、相続登記と一緒に申請すべき登記申請を怠ったり、誤ったりすると、後々思いがけない不都合が生じることがあります。
以下に、代表的なものについて、例を挙げてご説明したいと思います。可能であれば登記事項証明書を手元において参照しながら、必要な登記について確認してみるとよいでしょう。
1. 被相続人の住所・氏名を確認
被相続人の住所・氏名が現在と異なっている場合は、別途の登記申請が必要なわけではないのですが、別途それを証するための、住民票や戸籍の附票等公的書類が添付書面となります。
相続登記を検討する際に欠かせない一つの手順として、物件確認があります。基本的には登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、不動産の現況や権利の状態を確認します。
登記事項証明書の権利部「甲区」には、所有権の登記に関する記載がありますので、被相続人の住所・氏名を見て、被相続人の除票(死亡後の住民票)と見比べます。
もし、登記記録上の被相続人の住所・氏名のいずれか又は両方が、除票の記載と違っている場合は、登記記録と除票との繋がりを証する証明書等が必要となります。具体的には除票や戸籍、戸籍の附票等を取得し、登記記録上の被相続人と、除票に記載された被相続人が同一人物であることを証明します。現在、住民票に同じ自治体内の前住所は記載されないのが原則であるため、窓口で特に依頼して記載してもらい、さらに必要な戸籍の附票や除附票を取得します。古い住民票や附票などの証明書は廃棄されている可能性もあるため、住所がつながらない場合は、納税通知書と権利証を添付したり、相続人全員が署名・押印(実印+印鑑登録証明書添付)した上申書を作成して提出する等、別の方法で、被相続人の同一性を証明する必要があります。
これらの証明書等を提出することにより、被相続人の住所・氏名については変更登記を別途申請する必要はありません。
2.相続人との共有不動産の場合、各人の住所・氏名を確認
登記事項を見て、不動産が被相続人と相続人の共有となっている場合、相続人の住所・氏名も確認する必要があります。現在の住所・氏名と異なる記載がされている場合には、相続登記の前提として、住所・氏名の変更登記を申請する必要があります。
これを見落として、従前の登記記録と別の住所または氏名で相続登記を入れてしまうと、従前の自分とは別人として、言い換えれば、住所・氏名が異なる自分自身の共有の不動産として、登記上は記録されるという、おかしな事態となってしまいます。
これを徒過して、同一人物が異なる人物として登記されてしまった場合、共有持分を処分する際に、持分を見落とす原因ともなりかねません。特に共有者が多数の公衆用道路持分や敷地の持分等で見落とされがちですので注意が必要です。
3. 抵当権・根抵当権などの担保権が付着していないか確認
登記事項証明書の権利部「乙区」には、所有権以外の権利が記載されています。「乙区」を確認して抵当権などが付着していた場合は、この権利についても承継・抹消等の手続が必要となる場合があります。
例えば住宅ローンを残したまま不動産所有者がお亡くなりになると、大抵の場合、団信(団体信用生命保険)で残債務はなくなり、抵当権は実体上弁済により消滅することになります。しかし、何もしないでいても登記記録上の抵当権は抹消されませんので、ご自身で金融機関に報告し、抵当権抹消のための書類を預り、相続登記と連件で抵当権の抹消登記を申請する必要があるのです。
団信のないアパートローンや、ご商売の根抵当権の場合は、所有者の死亡により債務自体が自動的になくなるというわけではないので、抵当権や根抵当権の債務者を変更するか、抹消するかは、ケースバイケースです。今後も継続して賃貸契約ないしご商売に係る融資を続ける場合は、変更登記をすることになるでしょうし、今ある債務を弁済して契約関係を終了にする場合は、当該担保権は抹消することになるでしょう。

相続登記にかかる手続きは一見複雑ですが、専門家のサポートのもとでポイントを押さえて進めれば必ずクリアできます。地域の皆さまにとって頼れる存在となるべく、私たち司法書士ゆかり事務所も親身にサポートしています。全国からのオンライン申請にも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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