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遺産分割前の預貯金仮払い制度

更新日:2021年8月24日

遺産のうち、金融機関等の預貯金債権については、遺産分割の対象となるというのが判例です(最大決平成28年12月19日)。

現在の実務も、基本的にはこれに沿って行われています。


この判例が出されるまでは、預貯金債権は、相続開始と同時に当然に各共同相続人に分割され、各共同相続人が自分に帰属した部分を単独で行使できるものとされていたのですが、上記判例で、遺産分割の対象となるとされたことにより、遺産分割の前は共同相続人全員が共同して預貯金の解約手続きなどを行わなければならないということになったということです。


そうすると、例えば、葬儀の費用や、同居していた遺族の当面の生活費など、亡くなった方(被相続人)が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻したいのに、共同相続人全員の同意を得るのに時間がかかって、なかなか払い戻せないという困ったことが起こりかねません。



そういった事態に対応するため、遺産分割前に仮払いを認める制度が創設されました。


2つの仮払い制度

遺産分割前の仮払い制度には2種類あります。


一つは家庭裁判所の審判・調停の申立ての際に、相続した債務の弁済や、相続人の生活費などで必要性が認められた場合に、他の共同相続人の利益を害しない限度で、被相続人の預貯金の全部または一部を仮に特定の相続人に取得させるというもので、従前から認められていた遺産分割審判の保全処分の要件を緩和するものといえます。


もう一つは、民法に新設された制度で、家庭裁判所の判断を経ることなく、預貯金の払い戻しを認めるものです。

実務で使われる多くは、この民法の規定による仮払い制度だと考えられます。


民法第909条の2では、一人の相続人が仮払いを受けられる額として、「相続開始の時の預貯金債権額の3分の1に、共同相続人の法定相続分を乗じた額」と規定されています。

(より詳しくは、この規定で算出された額のうち当面の必要生活費や葬儀費用を勘案して法務省令で定めた額を上限とする旨規定されています。)


被相続人が、複数の金融機関に預貯金を有していた場合には、金融機関ごとに、上記の額につき、各相続人に払戻しが認められます。


そして、相続人がこの仮払い制度により払い戻しを受けた場合は、遺産分割により当該相続人がその払い戻しを受けた金銭等を取得したものとみなされます。


この制度により、葬儀費用等、当面必要となる金銭は確保でき、また払い戻しを受けた分は遺産分割で取得したものとされるため、共同相続人間の公正さもある程度保たれることになります。


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