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配偶者居住権の成立要件

更新日:2021年8月24日

配偶者居住権をご存じでしょうか。



今般の相続法改正により創設された「配偶者居住権」。


高齢化に伴い、亡くなった方(「被相続人」といいます)の配偶者が、被相続人の死亡後にも、一定の生活資金も確保しつつ、住み慣れた環境での生活を続けられるようにと、新たに作られた制度です。


配偶者居住権は、配偶者の死亡により、自動的に発生するものではなく、これが成立するには一定の要件を満たす必要があります。


今回は、配偶者居住権はどういう場合に成立するのかを簡単に確認したいと思います。

配偶者居住権の成立要件

1.建物は被相続人が所有していることが必要


まず、被相続人の相続が開始したときに、その配偶者が、被相続人所有の建物に居住していたことが必要です。

建物の所有者は、被相続人でなければならず、他人からの賃貸建物の場合は、配偶者居住権は成立しません。


また、建物が、被相続人と第三者の共有である場合には、原則として配偶者居住権を成立させることはできません。

建物共有者である第三者との関係では、被相続人の生前であっても、共有持分に応じた利用権を有していたにすぎず、所有権のような排他的権利を有していたわけではないので、配偶者居住権を認めることで、共有者である第三者の利益を不当に害することになってしまうからです。


建物が、被相続人と配偶者の共有であった場合は、配偶者居住権は認められます。

この場合には、夫婦以外の共有者である第三者の不利益という事態が生じないからです。


また、配偶者が「居住していた」というのは、生活の本拠としていたことを意味するものです。

したがって、配偶者が、被相続人の死亡時にたまたま入院していたために、被相続人所有の建物に居住していなかったとしても、その入院前は配偶者が住居として過ごしており、退院後もそこに戻ることが予定されていたという場合には、本拠としての実態はありますから、配偶者が「居住していた」といえることになります。


2.遺産分割協議、遺言、死因贈与契約などが必要


次に、その建物について、配偶者に、配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割、遺贈、又は死因贈与がなされることが必要です。つまり、被相続人がなくなるとともに配偶者に居住権が自動的に発生するわけではなく、被相続人の遺言や被相続人との死因贈与契約、遺産分割協議などがあって初めて、配偶者居住権が成立するのです。


この「遺産分割」には、遺産分割協議だけではなく、遺産分割の審判も含まれます。

したがって、他の相続人が配偶者居住権を成立させることに反対し、協議が整わない場合であっても、審判によって配偶者居住権を取得させることができる可能性はあります。


もっとも、争いがある場合にも常に配偶者居住権を認めてしまうと、遺産分割に関する紛争がいったん解決してもなお、配偶者と居住建物の所有者との間で争いが生じるおそれがあります。


そこで、民法では、遺産分割請求を受けた家庭裁判所は、

①共同相続人間で、配偶者居住権成立について合意している場合か、②配偶者が家庭裁判所に配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するため特に必要があると認めるときに限り、配偶者居住権を取得させる旨の審判ができる、とされています。


配偶者に、配偶者居住権を取得させようという場合には、遺言を作成するなどして、確実に配偶者居住権を成立させることができるよう、準備しておくことが大切です。


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