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代表取締役が辞任届に押す印鑑

更新日:2023年5月26日

取締役会設置会社において、代表取締役は、自らの意思で辞意を表明することにより、その職を退任することができます。

この際、登記所に届出印を提出している代表取締役の辞任による退任登記の申請には、当該代表取締役の辞任届を添付しますが、ここに押す印鑑は、個人の実印か、会社の届出印とされています。


かつては、この辞任届に押す印鑑は認印でもかまわないとされていました(平成27年に会社法が改正される前までです)。

しかし、認印というのは、百円ショップにも並んでいますし、誰でも容易に入手することができるものです。

代表取締役のような重要な地位を辞するのに、重要な公示手段である登記申請に、辞任届に認印での押印を許してしまうのは、さすがに問題があります。


例えば、会社内部でもめごとが生じていた場合、代表取締役社長の任期継続をよく思わない一派の人間が、社長に成りすまして辞任届を作成し、認印を押して登記申請をしてしまう、ということがあり得なくはないのです。


そこで、登記の信頼性確保のために、法務局に添付書面として出す代表取締役の辞任届には、代表取締役個人の実印を押印しその印鑑証明書を添付するか、又は、当該代表取締役が登記所に届け出ている会社の届出印を押印することとされたものと考えられます。


ここで、代表取締役個人の実印と同様に、当該代表取締役が登記所に届け出ている会社の届出印(いわゆる会社の実印)でもいいとされているのは、会社の届出印は、代表者ごとに届け出ることができ、これを改印する場合や廃印する場合にも、その届出印を使用するので、その代表取締役の固有の印鑑としての意味を考慮したものと思われます。


そして、代表者が複数いる会社において、登記所に印鑑を届け出ていない代表取締役がいらっしゃる場合がありますが、この方が辞任する場合には、他の取締役と同様、認印で足ります。


代表取締役が会社を代表して取引をする際に、会社の届出印が要求されますが、届出印を提出していない代表取締役は、そのような権限を持っていないわけで、その意味では、印鑑を届け出ていない代表取締役の辞任は、他の取締役の辞任と同様に考えられるからでしょう。


昨今、印鑑の押印という慣行全般を廃止しようという大きな潮流がありますが、登記制度の信頼確保はまさに押印によるところが大きく、今後、押印をめぐる登記実務がどのように変化していくのか、あるいはさほど変わらないのか、非常に興味の尽きないところであります。





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