所有不動産記録証明制度の活用
- ゆかり事務所

- 1 日前
- 読了時間: 5分
更新日:19 時間前
令和6年4月から相続登記が義務化され、これに伴い様々な法改正がありましたが、今回は令和8年2月2日に施行された、「所有不動産記録証明制度」についてご紹介したいと思います。
この制度は、所有権登記名義人として登記されている不動産をリストにして交付してもらえるというもので、被相続人所有の不動産の把握に活用できるのはもちろん、ご自身の所有物件を把握する手段として名寄帳のように活用できるものです。

制度化の背景~問題の所在
従前、相続開始後に被相続人の不動産を把握するためには、毎年一回自宅に届く「固定資産税納税通知書」の課税明細書部分を見たり、役所で名寄帳を取ったりして、確認していました。この課税明細書や名寄帳というのは不動産の所在地である自治体ごとに発行されるのですが、固定資産税が非課税の不動産は、課税明細書や名寄帳に入らない自治体も多く、相続人が被相続人の全ての物件を把握することが困難で、特に公衆用道路の持分や小さなすみきり地などについて、相続登記の際に物件漏れをきたすことが多々ありました。所有不動産の権利証をすべて確認すれば概ね把握できるはずなのですが、相続人が被相続人の権利証を探し出すのも至難の業だったりして、なかなか思うように物件把握が進められませんでした。
期待されるメリット
今般、相続登記の義務化に伴い、上記のような問題点を改善するために、「所有不動産記録証明制度」が誕生しました。本制度では、法務局が登記記録の不動産登記名義人の住所・氏名を検索条件として請求することで、所有不動産を全国の分一括して調査し、リスト化して証明してくれることにより、被相続人の不動産の把握が可能になり、相続登記を申請する際に、相続物件の見落としがなくなることが期待されています。
なお、相続登記の際の相続物件把握を想定して創設された制度ではありますが、本制度では、ご存命の所有権登記名義人や法人所有の不動産も調査することができます。
制度利用上の注意点
本制度は、登記された不動産について住所・氏名等、請求された検索条件に基づいて抽出するものですので、権利が登記されていない不動産については、当然ですが抽出されません。どういうことかというと、検索対象となるのは所有権の登記が入っているものに限られ、表題部のみの不動産は対象外となります。したがって、表題登記のみが行われているけれど所有権保存登記が入っていない物件については、抽出されません。
また、被相続人の所有物件を請求した場合、被相続人の先代、先々代から相続登記が入っていないと、抽出されません(その場合は、先代、先々代の氏名住所を遡って調べて請求する必要があります。)。
ですから、未登記不動産はそもそも検索できませんし、登記簿がコンピュータ化されていない不動産(いわゆる改正不適合物件)は対象となりません。
そもそも検索条件(所有権登記名義人の住所・氏名など)を適切に指定しないと、抽出されません。
この制度は始まったばかりですので、これから改善されていく点はあるかと思いますが、まだまだ課題のある制度であるともいえるでしょう。
手続の概要
ここからは、「所有不動産記録証明制度」を利用するための手続を見ていきましょう。
・請求できる人
まず、所有不動産の一覧リストである記録証明書を請求できるのは、所有権登記名義人本人、その相続人・法定代理人などとされています。委任状があれば、代理人でも請求することは可能ですが、その場合、後述のように本人の印鑑登録証明書(原本)と、登録印(実印)で押印した委任状が必要になります。この点だけ見ても、わりと厳格な手続で、所有不動産の把握というのは個人にとっては特に重要な情報だからといえるでしょう。
・請求方法
全ての法務局・地方法務局(支局や出張所を含む)に対して書面又はオンラインで請求することが可能です。また、書面での請求に限って郵送での請求も受け付けています。
ただし、交付までにかかる日数は法務局により異なるので、請求時に問い合わせましょう。
・手数料
手数料は、書面申請の場合、検索条件1件につき1通1,600円です。
※(例)書面請求で検索条件を4件指定し、証明書の通数を1通とした場合
検索条件4件×1通×1,600円=6,400円
(オンライン申請の場合、郵送交付は1,500円、窓口交付は1,470円)
・必要書類
①印鑑証明書または本人確認書類の写しのいずれか一つ
●印鑑証明書(請求書に実印押印)
印鑑証明書は原本の提出が必要で、還付してもらうことはできません。印鑑証明書に作成期限などの制限はありませんが、あまりに古い場合は理由を確認することがあるようです。
なお、法人所有不動産の調査の場合、会社法人番号を提供すれば、会社・法人の印鑑証明書に代えることが可能です。
●本人確認書類の写し(個人番号カード、運転免許証など)
書面で請求する場合のみ、印鑑証明書に代えて本人確認書類の写しも可能です。
申請時に窓口で、本人確認書類の原本の提示も要求されますので、必ず原本も持参するようにしましょう。
②過去の氏名・住所を検索時条件とする場合、それを証する書面
例えば戸籍謄本、住民票、戸籍の附票などで、過去の自分の氏名・住所を証明する必要があります。なお、これらの書類については原本還付処理をすれば返してもらうこともできます。
③相続人が請求する場合、上記に加えて相続関係を証する情報
戸籍、法定相続情報などで、請求者が所有者の相続人であることを証明する必要があります。こちらも原本還付処理を施すことで還付が可能です。
④代理人が請求する場合、上記に加えて委任状
委任状には請求人の実印押印して、印鑑登録証明書の添付する必要があります。
なお、この場合の委任状・印鑑登録証明書は原本を提出することが必要で、原本を還付してもらうことはできません。

ご相談は、司法書士・行政書士ゆかり事務所へ
相続・遺言・不動産登記・会社の登記に関するご相談は、司法書士・行政書士ゆかり事務所へどうぞ。
東急池上線「御嶽山」駅から徒歩2分の司法書士・行政書士ゆかり事務所では、完全予約制により、皆さまからのご相談に応じています。
ご相談のご予約、お問い合わせは、お電話(03-6425-7067)か、メールフォームからどうぞ。



コメント