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会社の本店を移転する際の登記手続

更新日:2021年8月24日

会社の本店を、別の住所に移転することを決めたら、税務署や都道府県税事務所、市区町村、年金事務所、労基署やハローワーク、銀行や取引先などなど、業務遂行や労務に関わりのある、あらゆる先へ、届出や連絡等が必要になります。


公的機関や銀行への届け出には、移転登記の申請書または登記事項証明書が必要となることも多く、本店移転の登記は前提、必須の手続といえます。

もちろん、本店移転の登記は、変更後2週間以内にしなければならず、これを怠ると過料の制裁が科されることもあるという法的義務ですので、なにはともあれ欠かせない手続です。


本店移転の登記手続は、管轄外への移転か否か(所在地である最小行政区画が変更になるか否か)、支店の登記があるかどうかで、かなりその煩雑さに違いが出てきます。




定款をチェック


まずは定款を確認し、定款変更が必要かどうかを検討します。


定款には、本店所在地が必ず規定されています。

多くは、本店所在地の最小行政区画である市区町村が記載されているでしょう。


概ね、定款に記載された所在地内で本店を変更する場合が「管轄内移転」、所在地外へ変更する場合が「管轄外移転」ということになります。


したがって、定款に記載された所在地外へ本店を移転する場合や、定款に具体的な住所が記載されている場合は、まず定款変更が必要となります。

定款変更が必要な場合は、株主総会の特別決議が必要となります。

特別決議の成立要件としては、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の3分の2以上の賛成が必要です。


取締役会決議または取締役の過半数で時期と場所を決定

定款変更の決議が済んだら、移転の時期と移転場所を取締役会の決議により定めます。

取締役会を置いていない会社の場合、取締役の過半数の一致により行います。


会社の本店移転は、会社法上「重要な組織の変更」(会社法第362条4項4号)に該当するとされている重要事項で、各取締役が独断で決めることはできず、必ず取締役の過半数が賛成することが必要とされています。


登記申請

取締役会決議(又は取締役の過半数の一致)で移転時期と移転場所が決定したら、いよいよ登記手続です。

登記申請書には、上記の定款変更決議や移転の時期・場所を決定をしたことを証する、株主総会議事録や取締役会議事録等が、登記申請の際の添付書面となります。


管轄外に移転する場合は、旧所在地用と新所在地用の2通の申請書が必要となり、登録免許税もそれぞれ3万円ずつかかります。

つまり登録免許税は、管轄外移転の場合は倍になるというわけです。

ちなみに、旧所在地用・新所在地用いずれの申請書も、旧所在地を管轄する登記所に提出することになります。


そして、管轄外移転の場合、新所在地における登記申請と同時に印鑑も提出する必要があります。

(なお、会社の印鑑届出は令和3年の商業登記法改正により任意となりましたが、現状、取引行為に会社実印の利用は必須と考えられますので、届出をするのが一般的と思われます。)


支店の登記をしている会社であれば、それぞれの支店の所在地の法務局においても、登記申請が必要となります。

なお、支店の所在地が、新旧の本店所在地と同管轄の場合は別途申請する必要はありません。

支店の所在地での変更登記が必要な場合、登録免許税は一件につきそれぞれ9,000円ずつかかります。


本店移転の手続の中では、最も煩わしいものの一つのがこの登記手続です。

早めに、検討、準備しておくことが肝要です。


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