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不測の事態に備える「予備的遺言」

更新日:2021年8月24日

遺言というのは、遺言を書いた人(「遺言者」といいます。)が亡くなったとき=相続が開始したときにその効力が生じますので、遺言が書かれてから数十年後にようやく、その効力が生じ、遺言の存在と内容が明らかにされることも少なくありません。

つまり、数十年前にその遺言が書かれていたときには、遺言者が全く想像していなかった相続関係が生じていることがあり得るのです。


例えば、遺言者A子さんが、「甲不動産は、長男B男に相続させる。」という遺言を作成していた場合、A子さんよりも先に、相続人であるB男さんが亡くなってしまうことも考えられるのです。


その場合、「甲不動産は、長男B男に相続させる。」という遺言は一体どうなってしまうのでしょうか。


相続のルールの一つに「代襲相続」(民法887条2項)というものがあり、子供よりも親が先に亡くなると、子供のそのまた子供(つまり遺言者の孫)が代襲して相続人となる、と規定されています。これを知っていると、B男さんが亡くなってしまっていた場合は、その子供が、甲不動産を引き継ぐことができるようにも思えますが、そうではありません。


「相続させる」遺言があった場合に、遺言者よりも先に(あるいはそれと同時に)、その相続人が亡くなってしまっていたとしたら、その「相続させる」遺言は、効力を生じなくなってしまうのです(最判平成23年2月22日)。

確かに、「B男に相続させる」という文言の中に、B男さんが亡くなっていた時のことまで想定して、B男さんの子供に甲不動産を承継させたいという意思があったと読み取るのは難しいですから、そのような解釈に帰結するのも致し方ないところです。


このような、万が一の場合を想定して対処するために、遺言者は、「予備的遺言」をしておくことができます。


上記の例では、A子さんは、万が一、自分よりも先に長男B男さんが亡くなっていた場合には、その妹の長女C子さんに甲不動産を遺したい、と考えていたのなら、「万が一、遺言者よりも先に又は遺言者と同時に、B男が死亡したときは、甲不動産を長女C子に相続させる。」と記載しておきます。


また、そうではなく、B男さんの子であるD子さんに遺したいのなら、そのように遺言に記載しておけばいいのです。


このように、遺言に「予備的遺言」を記載しておくことで、より確実に、遺言者の意思を実現する遺言を作成することができるというわけです。




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