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  • 執筆者の写真ゆかり事務所

自筆証書遺言の方式の見直し

更新日:2021年8月24日

旧法下では、自筆証書遺言は、その全文を自書しなければならないとされてきましたが、近年、要件が緩和され、遺産や遺贈の対象となる財産目録を添付する場合には、その目録については、自書をしなくてもよいということとされました。



遺言を実際に書いてみるとわかるのですが、全文を自書するというのは意外と大変な作業で、特にそれなりに年齢を重ねていると、かなりの重労働となります。


そのような厳格な要件が、遺言をする人の負担となって、自筆証書遺言の利用がなかなか進んでいないのではないか、ということが常々指摘されていたこともあり、遺言の方式を緩和することで、もっと自筆証書遺言の作成を促進しようという意図から、改正に至ったものと考えられます。


今回の改正で、遺言に添付する“財産目録”については、自書を要しないとされました。

財産目録は特にその形式が法定されているわけではなく、自分でパソコンなどを用いて作成した目録でもいいですし、例えば不動産であれば登記事項証明書の写し、預貯金であれば通帳の写しなどでもよいとされています。

もっとも、その場合でも、その写しの「毎葉」つまり、目録のあるすべてのページに、遺言者が署名と押印をすることが必要です。


今回写しでよいとされたのは、上記の通り“財産目録”についてだけで、いわゆる遺言の本文、日付、氏名は、全文を自分で書かなければなりません。また、財産目録の各ページにしなければならない署名押印の、署名についてもすべて自書です。


また、条文では「目録を添付する場合」(民法第968条2項)とされているため、写しによる財産目録は、自書している本文とは別の添付書面である必要があり、自書した本文と同じページに、その一部として目録を印刷することは認められないと解されます。


ちなみに押印については、特に実印でなければならない等の縛りはなく、認印でもよいとされています。


不動産の表示などは、物件数によっては自筆することは大変面倒ですし、誤りやすいものでもあるため、確かにこれにより多少、自筆証書遺言の作成が簡易になったとはいえます。


遺言作成の大切さについては、こちらの記事にも書きましたし、筆者自身、なるべく多くの方に遺言の重要性を伝えていきたいと思っていますが、今回の改正による自筆証書遺言の様式緩和だけで、遺言作成が促進するのかというと若干疑問も残ります。


とはいえ、文字を書くのが苦痛でない場合は、自筆証書遺言を検討してみてもいいのではないでしょうか。

また、やはり文字を書くのが非常に困難になってきた、と感じる方は、公正証書遺言という方法もあります。方式が厳格な分、自筆証書遺言よりも実効性は担保できますので、是非、ご検討していただきたいと思います。


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