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遺産分割協議に関するリスクと対策

  • 執筆者の写真: ゆかり事務所
    ゆかり事務所
  • 5月1日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月2日

相続が開始したら、まず相続人は遺言書があるかどうかを確認しましょう。遺言書がない場合は、誰がどの財産を受け取るのかについて、相続人同士で話し合う必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。

特に、相続財産が相続税の基礎控除を超えそうな場合は、相続開始から10か月以内に相続税申告を行わなくてはならず、また被相続人が不動産を所有していた場合は、3年以内を目安に相続登記を申請しなければなりません。

遺産分割協議を行わず、そのまま放っておいてしまうと様々な不都合が生じるおそれがあります。


今回は、遺産分割協議を速やかに行わなかった場合にどのようなリスクが生じるのか、ということについてご紹介します。


相続登記が義務化され、過料の制裁が規定されました


2024年4月から、相続登記が義務化されました。

原則として、相続によって不動産を取得した相続人は、自分がその所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

この義務を怠ると、10万円以下の過料が課されるおそれがあります。


ただし、相続人同士で話し合いをしていても、なかなか遺産分割協議がまとまらないことがあります。そのような場合に、過料を避ける方法の一つとして「相続人申告登記」(相続人である旨の申出)という方法があります。


相続人申告登記とは、相続登記の申請義務を負う相続人が、不動産の登記名義人が亡くなったこと、そして自分がその相続人であることを法務局に申し出て、登記記録に反映してもらう制度です。この申出をすることで、相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。しかもこの申出は各相続人が個別に申出することができます。


そのため、遺産分割協議がまとまりそうもない場合でも、この相続人申告登記を申し出ることにより、過料の制裁を免れることができます。


10年経過で「具体的相続分」の主張が制限されます


遺産分割協議では、法定相続分のみに従って分ける必要はなく、個別の事情も考慮することができます。

たとえば、生前に特別に贈与を受けた人がいる場合の「特別受益」や、亡くなった方の財産の維持や管理に特に貢献した人の「寄与分」などです。こうした個別具体的な要素を反映した取り分を「具体的相続分」といいます。

しかし、令和5年4月の民法改正により、相続開始の時から10年を経過した後に行う遺産分割では、原則としてこの具体的相続分を主張することができなくなりました。

その背景には、相続開始から長期間が経過すると、当時の事情を証明することが難しくなることや、遺産分割協議が終わらないまま長期間放置される状態をなくしたいという考えがあります。


ただし、例外的に、次のような場合には、10年を経過しても具体的相続分を考慮した遺産分割協議ができることがあります。

一つ目は、10年経過前に家庭裁判所に遺産分割請求をした場合です。

二つ目は、やむを得ない事由によって遺産分割協議ができなかった場合、その事情がなくなってから6ヶ月が経過する前に家庭裁判所に遺産分割請求をした場合です。

もっとも、この具体的相続分の10年の主張制限は、遺産分割を円滑に進めるためのルールです。そのため、相続人全員が合意すれば、具体的相続分を考慮した遺産分割をすることが可能です。


※この規定は施行日よりも前に相続が開始した場合の遺産分割についても適用されます。その場合は、相続開始から10年か、または本改正の施行日(令和5年4月1日)から5年間、つまり令和10年3月31日までのいずれか遅いときまでに、具体的相続分による遺産分割を行う必要があるので注意が必要です。(改正法附則3条)


まとめ:早めの対応が大切です


遺産分割協議を後回しにすると、相続登記の義務違反による過料の問題や、具体的相続分を主張できなくなる問題が生じることがあります。


相続が始まったら、できるだけ早く遺言書の有無を確認し、必要に応じて相続人同士で話し合いを進めることが大切です。話し合いが難しい場合でも、相続人申告登記や家庭裁判所への申立てなど、取れる対応があります。


相続の手続きは時間がたつほど複雑になりやすいため、進め方に疑問が生じた場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。



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