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遺贈と死因贈与

更新日:1月4日

特定の人にご自身の遺産を承継させるための手続として、遺贈と死因贈与があります。

これらはいずれも、自己の死亡後に、意図する人に遺産を遺すことができるという点で共通しますが、その内容は少しずつ異なり、それぞれにメリット、デメリットがあります。



単独行為か、契約か

遺贈というのは、遺言者が遺言をすることにより自分の思いを伝える「単独行為」といわれます。

つまり、遺産を受け取る相手が承諾していようがいまいが、一方的に「あなたにあげます!」という意思を表示しておくことができるわけです。単独行為は一方的意思表示ですから、やっぱりやめた!という「撤回」も自由に行えます。

遺言の撤回は、新たに遺言を書くことですることができます。

撤回したい遺言の内容に抵触する遺言を新たに書いておけば、前の遺言を撤回したことになるのです。


他方、死因贈与というのは「契約」ですから、あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の合意形成が必要です。

双方の意思が合致して初めて成立するのが契約です。

もっとも、死因贈与は、「その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」とされているため、基本的には遺贈と同様、撤回することができると解されています(民法第554条、第1022条)。

しかし、事案によっては容易に撤回することが認められない場合があります。

判例・裁判例の中にも、土地所有権の対価として死因贈与することを要件に和解が成立した場合に撤回を認めないとしたものや、負担付死因贈与ですでにその一部が履行されている場合に死因贈与の撤回を否定したものなどがあります。

死因贈与の撤回の可否は、個別具体的な事情によって判断されることになります。


なお、遺言は、15歳に達すると、できるようになります(民法第961条)。

死因贈与は「契約」ですので、その締結には行為能力が必要となり、未成年者がする場合、法定代理人の同意を得なければなりませんが、未成年者に何らかの負担が生じるものでなければ「単に利益を得」る行為として、未成年者でも単独で行うことができる場合があります(民法第5条1項但書)。


生前に登記(対抗要件)が備えられるか

誰かに遺したい財産が不動産の場合、死因贈与契約を適切に行うことで、始期付所有権移転仮登記をすることができます。

これが死因贈与の一つのメリットといえるでしょう。

始期付所有権移転仮登記を経由しておけば、生前にその内容が登記内容として公示されますし、死亡した際には、本登記を入れることで死因贈与契約の内容が実現できます。


仮登記をするには、要件の整った契約を作成しておくことが必要です。

具体的には、仮登記を申請することについて許諾する条項を入れた死因贈与契約を公正証書で作成しておくことをお勧めします。

なるべく確実な契約内容実現のためには、やはり専門家にご相談いただくのがよいでしょう。


他方、自己の遺志を確実に実現するために、厳格な内容の遺言を公正証書で作成したとしても、生前に登記をしておくことはできません。

これは、遺贈の効力は死後に発生するという、その法的性質によるものです。


ひるがえって、仮登記を入れていなかった場合、遺贈と死因贈与では、登記の簡便さに違いが出てきます。

例えば、公正証書遺言に「相続させる」という遺言があれば、土地の所有権移転登記は受遺者だけで比較的スムーズに行えます。


もっとも、遺言、死因贈与いずれにしても、執行者を定めておくことによって、よりスムーズに執行を進めることができます。

したがって、いずれにしろ公正証書により執行者等、必要事項を定めておくことが大切です。


不動産の場合の登録免許税

遺贈の登録免許税は、法定相続人以外への遺贈は、固定資産税評価額の1000分の20、法定相続人への遺贈は相続と同様、1000分の4です。


他方、死因贈与の場合の登録免許税は、受贈者が法定相続人か否かを問わず、1000分の20です。

仮登記が入っている場合、仮登記の時に1000分の10、本登記の際に1000分の10かかりますが、仮登記をした時期により免許税が異なることがあるので注意が必要です。


また、不動産取得税も、遺贈と死因贈与で同じような違いがあります。


つまり税務上は、受贈者が法定相続人か否かにもよりますが、遺贈と死因贈与でかなり差が出るため、この点では、法定相続人が受贈者となる場合は、遺贈にメリットがあるといえます。


事案に合った方法を選択

遺言、死因贈与は似て非なるもので、それぞれにメリット、デメリットがあります。

どちらを選ぶべきなのかは、個別具体的な事案によります。

それぞれのケースにあった方法を選択することが何より大切ですので、迷ったときは専門家にご相談されることをお勧めします。


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